営業マンはなぜいるのか?――“売る”を超える価値と役割

April 24, 2025

ビジネスにおいて、「営業」という言葉には「モノを売る人」というイメージが強くあります。しかし、現代の営業は、単に商品を販売するだけの存在ではありません。その役割は多岐にわたり、企業とお客様をつなぐ極めて重要なポジションです。

では、営業マンはなぜ必要なのでしょうか?

マーケティングと営業は違う

まず理解しておきたいのは、マーケティングと営業は似て非なるものだということです。マーケティングは「市場をつくる」活動であり、広告やSNS、Web戦略などを通じて見込み顧客を集めることに主眼があります。一方、営業は「目の前のお客様と向き合い、実際に売上を生み出す」活動です。つまり、マーケティングが“興味を持ってもらう”活動だとすれば、営業は“納得して買っていただく”仕事。両者が連携してこそ、ビジネスは前進しますが、それぞれの役割は明確に異なります。

1. 売れないものを売るために

どんなに優れた商品であっても、自動的に売れるわけではありません。営業マンは、顧客の抱える課題を徹底的にヒアリングし、それに対して「なぜこの商品が必要か」「導入することでどんな改善があるか」を具体的に、そして定量的に示していきます。まさに、「売れる理由をつくる」ことが営業マンの本質です。そのためには、商品に対する深い知識と、顧客の状況に対する鋭い洞察が欠かせません。

2. 売るための社内コーディネーター

営業は一人で完結する仕事ではありません。お客様の要望を受け、技術部門や製造部門と調整し、最適な形で商品やサービスを提供する。つまり、“売るための仕組み”を社内で動かす司令塔のような存在でもあるのです。営業マンが現場で積み上げた情報は、チーム全体での成功を引き寄せるために活用されます。そのためには、営業マン自身が会社全体を知り、協力関係を築くことが重要です。

3. 商品を知ってもらう伝道師

どんなに優れた商品でも、その価値が伝わらなければ意味がありません。営業マンは、実際の現場で商品をどう使うのか、どんな変化が起こるのかを具体的に示しながら、その価値を体感させる“伝道師”としての役割を果たします。ときには、お客様自身がまだ気づいていない課題を見つけ、その解決策を提供することもあります。

4. お客様とのリレーション構築

営業の根幹は、やはり「人と人との信頼関係」です。営業活動の中で最も重要なのは、信頼を構築すること。日々の訪問を通じて、「顧客にとって欠かせない存在」として認識されることが営業のゴールです。これは一朝一夕にはできません。まさに、どぶ板営業と言われるように、お客様のもとを何度も訪れ、地道に関係を深めていくことで築かれるものです。どぶ板営業とは、数多くの訪問と地道な努力を重ねることによって信頼を獲得し、成果を上げていくスタイルです。数字や成果だけでなく、お客様の変化を見守り、共に成長していく姿勢こそが成功のカギとなります。

5. 役に立つからこそ、会社の財務を圧迫してはならない

営業マンは、お客様の課題を解決し、役に立つ存在であることが求められます。しかし、「役に立つ」という理由だけで、会社の財務状況を圧迫してはいけません。どれだけお客様のために尽力しても、最終的には会社の利益が確保されなければ、継続的な営業活動は不可能です。営業マンは、顧客のニーズに応えつつ、企業の利益を最大化するバランスを取る責任もあります。適切な価格設定や収益モデルを提案し、企業とお客様の両方にとって良い結果を生み出すよう努力することが求められます。

6. 稲盛和夫氏の教えに学ぶ「思いやりと誠実」

経営者・稲盛和夫氏が提唱した「経営の12か条」の第11条にはこうあります。

「思いやりの心で誠実に」

営業の仕事もまさにこの言葉に通じます。お客様と向き合う際には、売るためのテクニックよりも、「この人のために何ができるか」「どうすれば本当に役に立てるか」という思いやりの心が最も大切です。そしてそれを誠実な態度と行動で示すことで、信頼という無形資産が築かれていきます。ただし、その貢献は会社の財務を無視してはならず、企業の持続的成長を支える形で実現するべきです。

まとめ

営業マンは「商品を売る人」ではなく、「価値を届ける人」であり、「信頼を育てる人」、そして「会社とお客様をつなぐ懸け橋」です。マーケティングが生み出した“きっかけ”を、営業が“結果”に変える。営業の仕事は、単に売ることではなく、何度も訪問を重ね、地道に関係を育てていく営みです。その信頼と成果の積み重ねが営業の本質であり、会社の財務を健全に保ちながら実行してこそ、営業は企業の未来を支える力となります。

そして私たち株式会社DenGXでは、昨年より脱炭素社会に大きく貢献する逆潮流防止装置の販売を開始しました。新たな市場での挑戦は決して容易ではなく、普及には今なお大きな苦戦を強いられています。しかし、営業部門を中心に、どぶ板営業ともいえる地道な活動を通じて、少しずつではありますが実績と信頼を築き上げてきました。これからも私たちは、価値ある技術と誠実な営業活動を通じて、お客様に寄り添い、社会の課題解決に貢献してまいります。

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